電気柵突破される

5月も下旬になりました。そろそろ暖房は要らないかと思っていましたが、先週末思ったより寒く、お客さんが居たこともあって、ペチカに火を入れました。その後もストーブを点ける日がありました。記憶にある限りでは、5月下旬に暖房が必要だったことはありません。ただ、最近は老人達と同居しているので、室温を高めに保っていました。それ以前は、省エネ重視で暖房を節約していたので、これ位の気温は気にしなかったかもしれません。野菜の成長などを見ますと、春先が例年より寒かったのは間違いありません。これからも気温が低いのか、例年並みになるのか、暑くなるのかが気がかりです。

 

というのも、もう少し田んぼを作ろうかと思っているからです。今必死に代掻き中ですが、耕作放棄田でしたので、凸凹が激しい上に水が溜まりません。予想外に時間がかかっていますが、次の週末には田植が出来そうです。田植なら時期的にも充分間に合うのですが、普通に田植をすると雑草が出て来ます。有機無農薬の米作りで一番大変なのは雑草対策です。できればお布団農法でやりたいのですが、さすがに遅過ぎます。でも、もし夏の気温が高ければ、収穫出来るのです。さすがに全滅は困りますので、半分お布団農法、半分は普通の田植で作ってみるつもりです。

 

大雨で、既にお布団を敷いた田んぼの1枚に水路から予想以上の水が流入し、お布団の一部が流されてしまいました。他の田んぼはどうかと見に行ったところ、山の田んぼでは電気柵が突破され、お布団が一部破られていました。地上25センチに張った電線が60センチまで押し上げられていて、小動物なら簡単に通れてしまいます。隣の地主さんの田んぼの田植がこれからなので、危険が無いよう柵を張ってなかったところから入り、出て行く場所に困って中から外側に無理矢理押し渡ったようです。電気ショックと言っても、力で押し切れば簡単に突破出来るものではあります。

 

柵を突破された時の問題か、電気が通らなくなっていました。雨が多かったので、雑草の伸びが思ったより早く、電気柵の電気が漏電して利かなくなってしまったのかもしれません。とりあえず柵を直し、草を刈り、バッテリーを交換しました。これで一安心です。ただ、隣の地主さんの田んぼを通って侵入される場合はどうしようもありません。その田んぼも次の週末に田植の予定で、田んぼに田植機も来ていました。毎年田植の後には電気柵を張ってくれていますので、もうしばらくの我慢です。穴を開けられたお布団は、次の週末に敷き直す予定です。

 

今年は震災や原発事故で日本の農業生産も厳しいと思い、出来るだけ沢山の農産物を作りたいと思っています。ここしばらく、忙しくて農業は少し手抜きになっていたのと、原発事故で春先の出だしが遅れてしまったので、四苦八苦しています。でもお手伝いして下さる方も増えているので、何とか追いつきつつあります。春先、父が種を蒔いてくれた野菜類が、少しずつ収穫出来るようになって来ました。畑の半分位は植付けが終わりました。6月に入って、豆類、薩摩藷などの植付けが終われば、一息つけます。大豆は少し沢山作りたいのですが、もうちょっと頑張れば、何とかなりそうです。

山の田に猪出現

天気の良い日は暑い位の塩田平です。先週末、知人の若い女性2人が手伝いに来てくれ、遅れていた田んぼも大分進みました。何年か人に作ってもらっていたので均平が取れていない田が多く、代掻きに入って初めてそれがわかりました。出張等も多いのですが、塩田平にいる日は、時間を見てはトラクターで代掻きに励みました。代掻きだけでは修正しきれないのですが、これ以上遅れるとお米が出来なくなってしまう恐れがありますので、代掻きと平行してお布団を敷き始めました。月曜日までかかりましたが、何とか3つの田のお布団敷きが終わりました。これで一安心です。

 

総合的に考えると、10日ほどの遅れで種蒔きが終わったと考えても良いのかな、とおもっていましたが、翌日塩田平を車で走っていると、まだ一部ですが、既に田植が終わった田んぼがちらほら目につきました。もちろん、代掻きしただけの田も、荒起こしして水を入れた段階の田も、荒起こしだけで水も入れていない田も多いので、それほど心配する必要はないはずです。春先気温が低かったので、直播きではどうせ芽が出ません。夏暑ければ、充分追いつけるはず、と頭では分かっているのですが、自分の種蒔きと人の田植が同じ日というのは、ちょっとショックな光景ではありました。

 

家の周りでは、まだ代掻きも珍しいので、大丈夫とは思いますが、人の作業は気になるものです。しかしそれ以上にショックだったのは、山の田んぼに猪が出たことでした。土曜日の午後にお布団を敷いたのですが、少し敷き残してしまいました。日曜日の午前中に、続きを敷きに行ってみると、昨日敷いたお布団が足跡だらけです。水に浮かべているので、破られてしまって足の形が分からないのですが、穴だらけです。多分鹿では無く猪でしょう。他に鳥の足跡も沢山ついていました。とりあえず少し修正し、前日敷き終わっていなかった部分にお布団を敷いて帰りました。

 

猪のことが気にはなったのですが、一番大きな田んぼにお布団を敷かなければなりません。これまでも鹿や猪に悩まされて来たのですが、春先に出たのは初めてです。夏の終わりの稔り始めた頃に出始めるのが例年のことでした。これで来ないでくれると良いと思いながら帰りました。翌日、大きな田んぼにお布団を敷き終わって直ぐに見に行ってみて大ショックでした。昨日は穴が開いていただけでしたが、そこら中で引きずられて、お布団がよじれています。2-3割は水面が見えています。これでは直ぐに電気柵を張らねばなりません。電気柵を張るには、まず草を刈らねばなりません。

 

既に日が傾いていたのですが、とにかく電気柵を家から持って来て、草を刈り始めました。暗くなり始めましたが、草刈もほとんど終わっていません。とても電気柵の準備までは無理そうです。実は電気柵を持ってくる時に、家に動物避けの薬があったことを思いだしたのでした。正露丸と同じ成分で、臭いは強いのですが害はありません。動物の知らない臭いを嫌う性質を利用して、動物を近づけないというものです。狸避けに使ったことはありますが、猪に使うのは初めてです。幸い在庫が沢山あったので、4箱を田の周囲に撒いて帰りました。翌朝見に行ってみると、被害は増えていません。薬が効いたようです。一安心です。その後2日かけて、少しずつ電気柵を設置できました。

野菜種蒔きは順調。田植は完了できず

ゴールデンウィークの塩田平は比較的好天が続きました。家族や知人も手伝いに来てくれ、連日5人で農作業に専念していました。原発事故でスタートが遅れた農業も、これで追いつくかな、と期待出来ました。おかげさまで種蒔きや苗の植付けはほぼ目標を達成しました。キャベツや白菜、ネギなどの苗を植付け、葉菜類や豌豆、枝豆、トウモロコシ、牛蒡、大根などの種を蒔き終わりました。畑の半分位は種蒔きが終わり、もうほとんど芽が出ています。残りの畑には、夏野菜を植えますが、今年は気温が低めなので、もうしばらく霜が降りる危険があります。霜に弱い夏野菜は来週末以降に植えた方が安全です。

 

田んぼは残念ながら予想以上に苦戦してしまいました。昨年の減反時に、大きい方2枚の田んぼで野菜を作ったのですが、畝立てしたまま平たくされていませんでした。その上、収穫残さが1トン近く放置されていました。まずその持ち出しで時間がかかってしまいました。それからトラクターで畝を削って平たくしてみたのですが、田んぼ全体で真ん中がへこんで周りが高くなっています。これでは田んぼになりません。トラクターの使い方が下手なときの症状です。昨年一緒にやってくれた人がトラクターをうまく使えなかったようです。昨年は忙しくて、全然手伝えなかったのでしかたありません。

 

それでもゴールデンウィーク中には何とかなるかな、と思っていたのですが、代掻きの途中でゴールデンウィークが終わってしまいました。代掻きで凸凹を直そうと思ったのが失敗で、畝が残っているのでトラクターが安定せず、ちっとも平らになりません。昨年村の役で忙しく、ほとんど田の耕起や代掻きをしなかったので要領が悪くなってしまっているのかもしれません。借りたトラクターだったので、土を引く力が今一つ弱かったこともあります。仕方なく毎日延々トラクターに乗っていたので、トラクターのエンジンを切っても、頭の中でトラクターのエンジン音が鳴り続けている位でした。

 

トラクターで耕起していると、土の中から出てくる虫を目当てに、色々な鳥が飛んで来ます。不思議なもので、鳥達は、轟音を発しているトラクターが近づいても平気です。あちこちを突つくことに忙しいようです。代掻きしていると、蛙が巻き込まれそうになります。蛙一匹を気にしても仕方ないのですが、あわててブレーキを踏むこともあります。ジャンボタニシが歩いているのも見かけました。種蒔きが終わると、もっと色々な生き物が現れます。直播きなので、田の種蒔きはできれば4月中に終えたかったのですが、次の週末、つまり5月中旬になってしまいます。

 

5月の最後の週には、周りの田んぼで田植が始まります。種蒔きと田植が同じ時期ということではまずいのですが、仕方ありません。今年は春の気温が低めだったので、周りの田植も少し遅れて、秋には同じ位に育つかもしれません。種蒔きと言ってもお布団農法と言う農法なので、綿のシートに種籾が埋め込まれたものを敷き詰めます。敷く直前に代掻きした方が敷きやすいので、もう一度さっと掻いて敷いて行きます。一昨年は鴨が沢山やって来て、種籾をみんな食べられてしまいました。鴨が昔のことを忘れてくれていると良いのですが。次の週末には、ナスやトマトといった夏野菜も植付けたいので、ますます忙しくなりそうです。

ひたすら田畑に通うゴールデンウィーク

塩田平を囲む山々にみどりが芽吹き始めました。家の近くで、狐や狸、雉子を見かけます。家の周りの田んぼにも、稲の苗を育てるトンネルが並んでいます。わが家の田んぼは直播きなので、本当ならわが家でももう種蒔きが終わっていなければならない季節です。原発事故のおかげで1カ月以上スタートが遅れてしまった農業ですが、何とか追いつこうと奮闘中です。父が農業に熱心なおかげで、畑や田んぼを遊ばせずにすみそうです。ゴールデンウィークに入り、知人や東京に住んでいる母が手伝いに来てくれ、残った種蒔きや苗の植付けが進みました。

 

その間に、田んぼに必要なトラクターの整備をしようとしたのですが、バッテリーを充電して起動したところ、クラッチが固着しています。思ったより重症です。修理するには時間とお金がかかりそうです。田んぼに間に合いません。仕方ないので知人にトラクターを借りることにしました。ゴールデンウイークは機械整備に時間がかかると思っていましたが、管理機を整備しただけで、トラクターは貸してもらって田んぼに向かいました。田んぼは4枚あるのですが、1枚が減反の年なので、今年お米を作る田んぼは3枚です。

 

先週末から今日まで、毎日のように田んぼに通っています。ちょっと面倒なのは、2枚の田んぼが昨年減反で、野菜を作っていたので畝が立ててあって凸凹です。田んぼによっては昨年作った作物の片付けが終わっていません。脱穀した稲藁や、大豆の豆殻などが田んぼに山になっています。まずはその片付けからです。軽トラを田んぼに入れ、フォークで積み上げます。1枚の田んぼは湿田で、軽トラが沈んでしまうので、一輪車で運びました。それから肥料を撒いたり、トラクターで荒起こしをしました。ひたすらトラクターに乗って、田んぼをぐるぐる回ります。

 

何とか荒起こしは終わりました。表面だけ薄く耕起する農法なので、比較的時間がかかりません。荒起こしが終わった順に、田に水を入れて行きます。田圃の面積にもよりますが、田んぼ全体に水が溜まるには一晩では足らず、2-3日かかります。ほぼ水が入ったので、明日から代掻きです。荒起こしはトラクターにロータリーという機械を付けて起こしました。ロータリーをドライブハローという機械に交換して代掻きをします。ロータリーでも代掻きも出来るのですが、ドライブハローの方がスピードも速く、幅も広いので、大分早く終わるのです。

 

田んぼには猪の足跡、畑には鹿の足跡があったので、気になっていたのですが、田を片付けて、次の日に行くとまた新しい足跡があります。畑では、ネギを植えた畝の上を歩いて、マルチに穴を開けていました。山の中の田は、電気柵を設置するしかなさそうです。ゴールデンウィークの目標は、何とか代掻きを終えて、田んぼに種を蒔いてしまうことです。今のところ例年より約1週間遅れていますが、今年は春の気温が低めで、桜が咲くのも遅かったので、田のスケジュールも少し遅れて当然、と思うことにしています。目標達成はちょっと厳しいかもしれませんが、米は重要物資なので、まずは種蒔きを優先して、畑や電気柵はその次ということになりそうです。(合原)