塩田平便り:放射線測定器の到着

 塩田平は例年より少し寒い冬で、数センチですが何度か雪が積もりました。ご承知のとおり、まだ稲刈りが終わっていません。3連休で挽回したかったのですが、2度も雪が降ったこともあり、残念ながらもう一息です。稲刈りに手を取られて、野沢菜の収穫や麦踏み、玉葱踏み、農機の整備や薪の整理なども遅れています。今年もあと残すところ1週間。ジタバタしたところで、ほとんどは新年に持ち越すことになりそうです。それ自体はこだわっていないのですが、野菜などが寒さに負けてしま、収穫できなくなってしまうと困ります。それもあって、寒さがあまり関係ないお米を後回しにしていたのですが、さすがに年内に片を付けたいという気持ちもありました。

 米は寒くても傷みませんが、田んぼに放置していると、鳥などに食べられてしまいます。特に、倒伏すると鳥の食べたい放題です。最後の田んぼも全面倒伏していたので、だいぶ被害に遭っていました。半分以下なら、動物達とのシェアに異存はないのですが、そう思っていると大体は全部食べられてしまいます。最後の田んぼは7月以来放置していたので雑草が多く、どれ位稔っていたのかわかりません。1反で1俵穫れるかどうかですが、それなりにお米も残っているので、動物達と共存できた方かもしれません。農法の問題で半分、放置して半分、動物と分け合って半分、と考えると、元は8俵ぐらいあったかもしれず、まあまあの収量です。

 これ以上は減らないように、年内は農業に専念したいところですが、そうもいきません。放射線測定器が到着したからです。そんなに大きな機械では無いのですが、環境放射能を遮蔽するために鉛でできていて、200キロ近くあります。まずはその置き場所を作らなければなりません。お預かりしている機械なので、会に参加している人が誰でも測れるように、自由に出入りできる部屋を作りたいものです。また、温度変動に弱い機械なので、一定の温度を保てるように、冷暖房完備、断熱完備の部屋を作る必要があります。すごく重いので、丈夫な床と、そこまで運び込む手段が必要です。わが家のガレージならコンクリートの床なので、強度は問題ありません。

 運送会社の人からの電話では、キャスターが付いているから2人で運べますとのことでした。手伝うつもりでしたが、稲刈りの最中だったので、お任せすることにしました。フォークリフトで運びたいので、パレットを用意して、その上に降ろして下さいとお願いしておいたのですが、重過ぎて動かせなかったらしく、道ばたに置いて帰りました。スレッドと言う、重量物を吊るための紐がかけてあったので、フォークで吊ってみたところ、ひっくり返ってしまいました。スレッドの掛け方が無茶苦茶です。仕方ないのでハンドウインチで引いて真っ直ぐにしてガレージに入れようとしたのですが、スレッドが長過ぎてフォークが建物に当たってしまいます。手持ちの短いスレッドを正しくかけ直し、やっと搬入できました。

 あとは機械の大きさに合わせて間仕切壁作り、断熱材を詰め込めば良いでしょう。原発再稼働につながるので消費電力は引き下げたいものですが、温度を保つためにクーラーと電気ヒーターも必要です。家造りの道具があるので、作業はできますが時間が無い。しかもわが家のガレージは既に物で一杯。お手伝いもお願いして、かなりの物を搬出したのですが、まだ十分に片付いたとは言えない状態です。今日も手伝いに来てくれた友人が居て、もう少し物を搬出し、野菜を整理して、ガラスを移動して、1坪ほどの場所を確保しました。これで一安心です。はやく設置の準備を終えて、試験的に測定してみたいものです。稲刈りより優先するつもりですが、年内にそこまで辿り着けるでしょうか。

塩田平便り:麦の芽も出て玉葱の植え付け開始

 塩田平をとりまく山々もすっかり色づきました。幸い必ずしも気温が低いわけではなく、氷点下にもならず、霜も降りない日も結構あります。この1週間は、出張や村の行事が多く、1日塩田平にいることができたのは2日だけでした。出張中に友人が手伝いに来てくれたので、玉葱の植え付けが進めばと期待していたのですが、稲刈が遅れている田んぼの稲架が強風で倒れてしまい、その掛け直しに時間を取られたとのことで、玉葱までは辿り着けなかったとのこと。でも残った南瓜や小豆の収穫をしてくれたので、懸案は大分減りました。稲刈の遅れで他の作業が大幅遅れになってしまい、わが家だけいつまでも終わらない秋の農繁期です。

 稲刈は気になりますが、細かいことを言わなければ米は待ってくれます。冬越しの玉葱やニンニクは遅れ過ぎると全滅してしまいます。週末1日家にいられたので、玉葱のマルチ張りをしました。管理という小型の耕耘機で、マルチャーという機械を付けて引っ張ると、あら不思議、するするとマルチが張られて行きます。手作業だと、3人がかりで1時間に20メートルぐらい張るのが精一杯です。ちょっと強い風が吹くと作業中止です。それが風があっても1人でもっと張れてしまうので、大変便利な機械です。その間に、父とパートナーには玉葱の苗取りをしてもらいました。1列張れればもう植え付けられるので、取り終わった苗を植えてもらいます。

 その間も次の畝にマルチ張りです。ただ、張り始めれば早いのですが、次の列に移るにはかなり時間がかかります。斜めに張り始めてしまうと、向きを直すのも大変です。それに事前に畑を細かく耕しておかなければならないので、不耕起農法では使えません。畑や作物で使い分けることになります。それでも苗を植え付けるよりははるかに速く、暗くなるまでに5畝にマルチを張ることができました。翌日から村の行事で出かけましたが、その間にもう1畝苗を植えてくれていました。父の記録によると、昨年は11/4に玉葱の苗を植えたそうで、例年より1-2週間遅れています。行事から戻って残りのマルチを張り終わり、次の品種の苗を取って、パートナーと一緒に植えました。ここまでで苗の約1/3を植え終わりました。

 引き続き玉葱を植えたいところですが、ニンニクの植え付けも途中で止まっています。困ったことに春先に収穫し損なった株がかなりの数あり、そこから自然に芽が出ています。マルチの小さな穴から、5本も10本も芽が出ているので、このままでは大きくなりません。掘り出して1株ずつ植え直しました。芽が出る前なら簡単なのですが、何倍も時間がかかります。でもせっかく芽が出たのを無駄にしたくありませんし、自然に合わせて成長している株の方が、こちらの都合で好きな日に植えた株より良く成長してくれるのではないかと思います。半日かかって半分しか植え替えられませんでしたが、あと一息なので明日も早起きしなくては。

 心配していた麦の芽も無事に出ました。播種機を使うのも、ユメカオリという品種を作るのも、そもそもこれだけの面積麦を作るのも初めてだったので、ちゃんと発芽するか心配していました。機械蒔きの場合、砕土率や播種深度は機械任せになってしまい、芽が出てくれるまでちゃんと調整できて蒔けているか発芽するまでよくわからないのです。1枚目は芽の出方に、かなりムラが出来てしまいました。2枚目は1枚目でいろいろ調整してからかかったので、大体揃って発芽してくれました。1枚目は、もう少し待ってみても発芽しないところは、手作業で追い蒔きすることになりそうです。いろいろと遅れていますが、白菜などの冬野菜も大きくなってきました。それなりに何とかなりそうです。

塩田平便り:稲刈をちょっとやって玉葱畑の準備

 塩田平は週末2日とも強い霜が降りました。近くの山も色づき始め、田畑の周りの紅葉も進みました。天気が良いと、景色が本当にきれいです。強い霜が降りれば夏野菜は枯れてしまいますので、その前に収穫を終えなければなりません。時間的に、出来の良い夏野菜と南瓜のすぐ見つかる分だけしか収穫できませんでした。南瓜畑は部分的に雑草のジャングルになっていて、ジャングルの中の南瓜はすぐには見つからないのです。でも霜も直接降りませんので、気温がこれ以上下がる前に収穫すれば何とかなります。ピーマンなどは実も傷んでしまいがちですが、来年のための種蒔きが遅れているため、そちらを優先しているので、野菜の様子を見に行く余裕も無い状態です。

 先週は麦畑に切り藁を撒きました。近所の知り合いの大工さんが藁カッターを持っているので、それを借りて来たので仕事は早かったのですが、それでも4日かかりました。もちろん仕事もありますし、稲刈中断中の4枚目の田んぼの稲架が、強風で倒れてしまったのを直したりもしていたので、丸々4日かかったわけではありません。藁を撒き終わったので週末は稲刈に戻りたかったのですが、稲束を干す稲架が足りなそうだったのと、何週間も干して乾燥が進んでいたので、早く刈った分は2日がかりで脱穀しました。籾で180キロ位あったでしょうか。週明け雨の予想だったので、その前にと稲刈を再開しましたが、残念ながらぬかるみに阻まれて、全部は刈り終わりませんでした。

 もう一息なのですが、長靴が取られてしまうほどで、倒伏した稲も泥に埋まっていたり、大きな稗が生えていたりで苦戦して、残っていた稲の半分強を刈ったところで時間切れになってしまいました。刈り終わった稲束の稲架に掛ける作業は母やパートナーがやってくれたので、かなり進みました。面積的には、全部の田んぼの7割が刈り終わり、6割が脱穀まで終わったことになります。今刈っている4枚目の田んぼで残っているのは3%あるかないかなので、刈ってしまって切りを付けたいのですが、足場が悪いので半日はかかりそうです。遅れている玉葱の苗の植付け準備ができてしまう時間です。遅れている玉葱を優先しなければなりません。

 今年の玉葱は小さな減反田に植えます。水はけを良くするための弾丸暗渠を引いたまま、手つかずでした。家から近いので、耕耘機にライムソワーという、石灰を撒くための機械を付けて、耕耘機に引っ張ってもらってライムソワーに乗って減反田まで行きました。ライムソワーでも、油粕や牡蠣殻、グアノなどの粒状の肥料なら撒くことができるのです。肥料を配合して混ぜ合わせて撒きます。肥料を撒くのに4時間ほど、それからトラクターで耕すのに2時間ほどで何とか玉葱を植える準備ができました。今年はマルチを張って作るつもりなので、マルチを張るところまでやりたかったのですが、このまま出張です。今週はこれから3日間、先週は東京3往復と出張が多く、早起きして田畑に行ける日があまりありません。

 麦の種蒔きが終わったので、この時期大きいのは田んぼと玉葱だけです。小さいものでは、ニンニクや豌豆など、10月に種蒔きする予定だったものは遅れています。でもこの秋は暖かいので、今でも間に合うかもしれません。9月に種を蒔いた、大根や野沢菜などの冬野菜は順調に成長して、すっかり大きくなりました。主作物は専門機関に放射能検査に出していますが、幸い今のところ全く検出されていません。初収穫の春菊をおひたしにしてみましたが、本当においしい。野菜一つで幸せな気分になれるというのは、本当に幸せなことです。塩田平冬はそれなりに寒いので、もうしばらくすると、出来ないことの方が多くなります。何をするか迷っている今が、一番楽しい時かもしれません。

塩田平便り:稲刈をお休みして来年のための種蒔き

 塩田平から尾根を一つ越えた丸子町では、連日霜警報が出ているそうです。先週ミーティングの後立ち寄ったお店のマスターが話していました。例年なら、塩田平も10月下旬には初霜が降りることが多いので、不思議なことではありません。ただ、今年は昼間の温度が高く、寒さを感じるのは夜の間だけです。この間まで暑い日が多かったのに、突然冬の気配で、秋はどうしてしまったのだろうという感じです。本当は、10月も終わりのこの時期までに、来年のためのの種蒔きや苗の植付けが終わっていなければなりません。幸いこの1週間は雨も降らず、稲刈も少し進みましたが、まだまだ先が見えません。稲刈が終わってから種蒔きでは間に合いそうもありません。稲刈を中断して種蒔きに専念することにしました。

 一番大変なのは麦の種蒔きです。大面積は初めてです。まずトラクターで耕起し、ずっと返してもらっていない播種機を返してもらい、整備して播種機で蒔かないと終わりません。日曜日朝から雨の予報でした。田んぼなので、雨が降るとぬかってしまい、耕起も播種も出来ません。金曜から麦蒔きの準備を始めました。まずは途中までになっていた、麦と、玉葱を植える予定の減反田に弾丸暗渠を引きました。そしてサブソイラをロータリーに換装しました。麦を蒔く予定の減反田を耕します。栽培指針では、深く細かく耕起することになっていますが、土壌構造を壊したくないのと、時間もないので浅く起こします。それでも土があまり荒いと播種機がうまく種を蒔いてくれないでしょうから、2回耕起しました。耕し終わったのがもう日曜日の午前中でした。霧雨が降ったり降らなかったりです。

 幸い播種機も比較的短時間で整備でき、種蒔きを始めることができました。最初の調整に手間取りましたが、雨との競争なので、蒔き始めたら細かいことは気にせずどんどん蒔いて行きます。でも幸いなことに、たまに雨が風で運ばれてくる位で、全部蒔き終わるまで本格的な雨にはなりませんでした。そのまま稲刈に移ろうとしたのですが、直後に雨が本格的に降り出しましました。10月中に麦の種蒔きが終わり、大変ラッキーでした。あとは霜が降りる前に夏野菜の最後の収穫と、ニンニクや玉葱、豌豆の種蒔きを進めなければなりません。状況を見に山あいの畑に行ってみてビックリ。南瓜の葉っぱが枯れています。家の周りは霜が降りてなくても、ちょっと高いところは霜が降りていたのです。南瓜を霜に当てると傷んでしまうので、とりあえず先に南瓜の収穫をしました。

 散々苦労したので、激しく倒伏している稲を刈る方法が大体分かりました。激しい倒伏というのは、稲が根元からべったり寝てしまっています。隣の稲が上に倒れ込んでいると、バインダー(稲刈機)が乗っかった稲も掻き込んでしまい、絡まって機械が止まってしまいます。だから穂先の方ではなく、根元の方から刈るしかありません。幸い倒れた方向はほぼ同じ方向で、植付けた条から直角に倒れていたので、刈り取りやすく助かりました。それでも時間はかかります。まず倒れている稲を引き起こさなければなりません。稲の条にそって、1列ずつ細い棒を差し込み、引き起こします。直径2センチ、長さ2メートルほどの電柵の支柱をを使いましたが、これで比較的簡単に引き起こせました。隣の条の稲の上に乗っているので、そこに少し隙間があり、時間はかかりますが比較的簡単な作業です。

 ただ、隣の条の稲株の間に倒れた茎もあります。これが土の中に沈んでいると、棒では引き起こせません。棒で引き起こせなかった茎は手で起こすしかありません。棒を使えば数株まとめて引き起こせますが、土に埋まっているものは一株単位や、深い場合は1本ずつ起こすことになります。起こした稲株は自分で立っていられないので、傾きます。この方向を揃えてやらねばバインダーでうまく刈れません。倒れる方向は、バインダーの前方か、まだ刈ってない部分の反対側です。そしてここが重要なのですが、稲架部同士が交差すると、バインダーの刈り取り部で詰まりやすいので、きれいに揃えなければなりません。ここまでやっていると、2人掛かりで2時間作業して、20メートルほどを10条しか刈れません。

 手で刈った方が早いように思えますが、刈るだけなら早いのですが、束にして結束するのに刈る以上の時間がかかり、バインダーにはとてもかないません。雨で水分が増え、バインダーを入れるのが心配な部分を父が手刈りしてくれていますが、引き起こしながらバインダーで刈る方が、2倍以上刈れます。倒伏さえなければ、1日で1反刈り終わってしまいます。それがもう延べ7日以上作業して、やっと半分強、バインダーが入れられそうなところは全部刈り終わりました。本当に非効率ですが安全なお米を増やしたいので仕方ありません。これまでは倒伏するようなことは滅多に無かったのすが、今後は倒伏しないよう、作り方に工夫が必要なのかもしれません。

塩田平便り:稲刈は長期戦モードに

 塩田平では暖房を入れ始めました。昼間は暖かいのですが、早朝の外気温は5度。化石燃料を使わずにすむペチカに火を入れたいところですが、稲刈が終わらないのでペチカを整備する余裕がありません。この1週間は出張や行事が続き、農業はあまり進みませんでした。空けておいた日は雨降り。週末は会社の若い人の結婚式でめでたかったのですが、ずっと伸びっ放しでぼうぼうだった髪の毛を、雨降りのおかげで床屋に行けたのはラッキーでした。合間を見ては田んぼに通っているのと、機械で刈りにくいところは父が毎日手刈りしてくれているので、稲刈も少しずつは進んでいます。ただ、雨と倒伏で進捗は遅々としたものです。10月中には豌豆などの豆や麦を蒔いたり、ニンニクやタマネギの植付けも終わらせなければなりません。

 機械で刈れる分だけ刈ってあとは諦めるというのが普通の判断ですが、時間がかかって長期戦になっても、出来るだけ収量を上げたいと思っています。先週は3枚目の田んぼを脱穀しました。3畝の小さな田んぼで収量は籾で161キロでした。精米してみないと正確な玄米の収量は分かりませんが、他の田んぼと同じなら計算では120キロ。ちょうど2俵です。反収では400キロ、つまり6俵半でちょっと少ない。慣行農法の2割減です。有機栽培だからこんなもの、と考えることも出来ますが、お布団農法で雑草はほぼ完全に抑えられましたし、倒伏が多かったことを考えると、作り方を改善すれば、もっと収量が期待できると思っています。

 この田んぼは去年も肥料過多でいもち病が出て、今年よりも悪い出来でした。その前の年が減反で、野菜を作ったのでその残肥が非常に多かったようでした。その反省で今年は肥料を減らしたつもりだったのですが、やはり多過ぎたようです。計算してみると窒素量で反当7キロ弱入れています。これまでは粗放栽培だったので、雑草や水管理が甘い分肥料効率が悪かったので、これでも少なめだったのですが、今年は真面目に作ったので多過ぎたようです。今刈っている田んぼも全面倒伏してしまいましたし、今後は米作りの肥料設計を全面的に見直した方が良いようです。来年は減反なので、田んぼで野菜や豆を作ります。また残肥が多くなります。

 今年反収8俵だった田は、昨年野菜を作ったので今年は無肥料で始めましたが、結局追肥はしないままで、それでも一部倒伏しました。収量は過去最高です。今後は反当窒素量で4-5キロを標準にし、減反のあとは無肥料で出発し、追肥で調節する方が良さそうです。段々慣行農法に近くなって来ます。手抜き農法というわけにはいかず、手間的は増えてしまいますが、収量を確保するためには仕方ありません。お布団農法で、今年も3枚の田はほぼ完全に雑草を抑えることができました。1枚の田は稗だらけになってしまいましたが、稗は水管理で抑制できるので、他の雑草より対処が簡単です。来年は減反で畑にしますので、田んぼより除草が簡単です。稗に芽を出させて抜くようにすれば、種も減ります。

 増収を考えると、色々と改善できる点があります。今年は初夏に体調を崩してしまい、結局耕作を放棄してしまった田が3枚出てしまったのも反省点です。水管理を自動化する計画だったのですが、そこまで辿り着かなかったため、バンザイするしかありませんでした。この田は来年も米を作ることができる予定なので、オフシーズンに少し整備したいと思います。田の水口も、配管を入れてしまい、誰でも確実に水を入れたり止めたりできるように改善したいところです。水が溜まる田の改善も、排水溝を掘ったり、弾丸暗渠を入れたり、水が溜まるところに土を盛るなど、冬場に改善できそうです。ただ、農業以外は後回しにしているので、そっちも冬場に何とかしなければなりません。良く計画を立てなければ。

ひたすら刈り続けるも終わらない稲刈

 塩田平もすっかり秋めいてきました。朝起きると寒い位で、そろそろペチカに火を入れたくなります。幸い雨が降らずにいてくれたので、残った田んぼも少しずつ乾いて来ました。先週は3枚目の田んぼの稲刈をしました。3枚目と4枚目は倒伏がひどく、稲を手で引き起こしながらの稲刈です。田面も充分乾燥していないので、効率が上がりません。稲刈機(バインダー)の性能はそれなりに高く、自分で引き起こしながら刈ってくれるので、そのままでも8割程度は刈れます。ただ無理に刈っても、引き起こし損なった稲は上の方で刈り取られてしまい、脱穀機でうまく脱穀できずにロスになってしまうことが多いのです。合計で3割程度は減収してしまうでしょうか。これまでは、仕事の片手間農法だったので、時間効率優先でした。多少のロスがあっても、時間がかからなければそれで良い、という農法です。その代わり広めに作って、自家消費分プラスアルファ収穫できれば十分でした。

 ところが福島の原発事故のおかげで、ポリシーを変更しなければならなくなりました。東北関東の農作物のかなりの部分が放射能に汚染されてしまったからです。100ベクレルまで大丈夫だとか、100ミリシーベルトまで大丈夫などと言っている困った人達もいますが、放射能は被曝量の大小にかかわらず、被曝が増えればそれだけ病気や死ぬ人が増えて行きます。誰に当たるかというだけの問題です。わが家も農地の土を測るとセシウムが数十ベクレル検出されます。各田畑の作物を測定していますが、幸い作物には、検出できるセシウムは含まれていないことが分かりました。粘土質土壌のため、移行が食い止められているようです。ちなみに測定下限は1-2ベクレル/kgです。セシウムフリーの農作物を少しでもたくさん作れば、それだけ汚染された作物を食べずにすむ人が増えるわけです。収穫量優先に目標変更せざるを得なくなりました。

 というわけで、できたお米はできるだけたくさん収穫したいのです。先週末の日曜日に、2枚目の田んぼの乾燥が遅れていた稲架1列の水分を計ると15.4%でした。気持ち高目ですが、天気が良ければ水分は下がり続けます。水分は重要で、脱穀は最優先の作業です。翌日は仕事で作業できないので、脱穀することにしました。午後一杯かかってしまいましたが、米袋5袋で102キロの籾が収穫できました。既に脱穀が終わった分は、コンバイン袋に収穫したままだったので、夜、米袋に移して計量しました。7袋で157キロありました。58キロ精米済なので、全部で籾付きで317キロの収穫です。籾摺すると25%減ったので、玄米で約240キロ、4俵の収穫ということになります。田んぼの広さが5畝なので、反収8俵。慣行農法では平均的な収量ですが、2割下がると言われている有機農法としては良い数字です。

 収量が増えた分、毒入りのお米が食べられる量が減るので、努力した成果があったとも言えます。残念ながら、全ての田んぼでこの収量ではありません。1枚目はまだ正確に集計していませんが、近い反収になりそうですが、3枚目は、反収換算で6俵程度かも。問題は今刈っている4枚目です。残念ながらこの田んぼは、ほぼ全面倒伏してしまった上に、雑草の稗が大量に生えてしまいました。さらに、水が抜けにくく、バインダーが例年スタックしてしまう田んぼです。今年は非常に沢山の稲が倒伏してしまいました。倒伏した稲は、一株ごとに引き起こしながら刈り取らないと、収量が減ってしまいます。大変手がかかるのですが、収量優先に切り替えた以上、しかたありません。1割ほど刈ったところで雨が降ってきてしまいましたので、乾燥するまで稲刈はお預けです。

 去年は野菜に力を入れたらお米に手が回らず、お米の収量はかなり少なくなってしまいました。来年減反なので来年の分のお米も今年作っておかなければならないという事情もあって、今年はお米に力を入れたら野菜があまりできませんでした。農業に割ける時間が限られているので仕方ありませんが、なかなか難しいものです。もう秋なので、今から種蒔きできる野菜は限られていますので、来年の課題になりそうです。課題と言えば、こんなに稲が倒伏したのも初めてで、原因をあれこれ考えています。多分肥料が効き過ぎたのでしょうが、多肥栽培というわけでもなく、例年と同様の施肥量でした。天候によって肥料分の効き方は変わるので、天候もありそうですが、これまでの有機栽培で地力が付いてきて、その分肥料を控える必要が出て来たのかもしれません。来年は減反ですので、再来年施肥量を良く考えたいと思っています。

雨で稲刈できないので麦蒔きの準備

 なんだか毎晩雨が降る塩田平です。4晩連続で雨が降り、これから稲刈の田んぼは水が溜まってしまいました。そもそも水が抜けにくい田んぼなので稲刈が遅れているということもあるのですが、2日ほど雨が降らなくても水が減りません。お手伝いしてくれる人がいたので、3枚目の田んぼを週末に刈ろうとしたのですが、外周1列の2/3刈るだけで3時間かかってしまいました。倒伏した稲が濡れて重く、刈りやすいように起こすのに時間がかかることと、土がぬかるんで、バインダーが滑ってしまうのです。こんなに水が抜けないのはおかしいと思って調べてみると、田んぼの入口で水が止まっていませんでした。雨が降るたびに水が流れ込んでいたようです。排水はチェックしていたのですが、いつまで経っても水が抜けないわけです。

 とにかく水が引くのを待つしかありません。水を止めて排水溝を切り直しましたが、また夜に雨が降ってしまいました。田んぼの中の乾燥しやすいところをまず刈ることも出来るのですが、倒伏が激しいのでそれも大変です。バインダーは外周から回りながら刈るように作られているので、稲束を排出する方向が決まっています。往復して刈ると、次に刈る稲の上に排出してしまい、稲束を移動させないと次の列が刈れません。それに倒伏している稲は、人が向きを揃えてやらないと刈れないので、往復するとその度に逆向きに揃え直さなければなりません。大変過ぎます。稲刈を延期することにしたおかげで、お手伝いの人には4箱ほど大根葉を収穫してもらい、福島に送ることができました。

 稲刈が終わった田んぼは乾いています。来年は減反で、稲刈が終われば2枚の田んぼで麦を作ります。先にその準備をすることにしました。小麦を大面積作るのは初めてなので、肥料設計から勉強です。長野の栽培指針によると、反当窒素4kgリン酸4kg苦土石灰100kgとのこと。有機栽培は肥料も全て天然のものです。油粕4袋(80kg)、グアノ2/3袋(14kg)、牡蠣殻石灰4袋(80kg)ぐらいです。広い方の田んぼが油粕3袋、グアノ3/5袋、牡蠣殻石灰3袋、狭い田んぼが油粕2袋、グアノ2/5袋、牡蠣殻石灰2袋で作ってみて、様子を見ましょう。有機資材は有効成分の濃度が低いので、大量に散布しなければならず重労働です。使っている肥料は、ライムソワーという、石灰を撒く機械で撒けることも理由の一つです。

 まずは排水のための弾丸暗渠を引くことからです。どうしても水が引かないところが残ってしまう田んぼがあり、オークションで安い中古を見かけたので、その排水のために買ったのですが、麦も排水が重要なのです。初めて使うので、トラクターに装着して調整するのに半日かかってしまいました。実際に使ってみて、またリンクロッドやユニバーサルジョイントの長さを変更しなくてはなりませんでしたが、一応引くことはできました。ただ、30センチ以上の溝が切れるはずなのですが、25センチ位しか切れません。もう少し調整のしようがあるのかもしれませんが、とりあえず今年はこれで良しとしましょう。次は肥料を混ぜ合わせてライムソワーで撒きます。前に使った畑に置いてあったライムソワーを運んできてちょっとショック。撒き残した油粕に雨水が入って固まっています。

 散布できないし、量の調整ができません。週末来ていた母も一緒に、3人で粘土状になってしまった油粕を掻き出しました。散布量を調整する細かい隙間をきれいに掃除するのに1時間以上かかってしまい、暗くなってしまいました。肥料撒きはまた翌日です。雨が降っても大丈夫なように、シートでカバーして終わりにしました。翌日は快晴でした。早起きして、肥料を撒き始めます。わが家のライムソワーは耕耘機で引っ張るタイプです。クボタのT7という古い耕耘機があり、それで引っ張ります。最初は肥料が均等に落ちませんでしたが、撒いているうちに段々きれいに撒けるようになりました。残念ながら会社の行事があり、9割撒き終わったところで出かけました。

 翌日続きをやる予定でしたが、2枚目の田んぼの稲の乾燥が進み、水分が14.5%まで下がってしまいました。すぐに脱穀しなければなりません。明るいうちに終わるつもりでしたが、いつもの読みの甘さで終わった時は真っ暗。あきらめて翌朝早起きして、肥料を撒き終わりました。反省点は、暗渠を掘った後が凸凹で、肥料が撒きにくいこと。それに肥料を撒く時にせっかく掘った溝をつぶしてしまいます。どうも先に肥料を撒いてから暗渠を掘った方が良さそうです。もう1枚の田んぼでは逆の順番に作業しましょう。この後、トラクターで耕起してから、トラクターに播種機を取り付けて麦の種を蒔きます。その間に雨が降ってしまうと、田んぼなので土がドロドロになってしまいます。稲刈同様、こちらも天気との相談です。

 麦の準備をはじめたら、そのまま続けたいところですが、外周の一部だけ刈ったまま1週間近く経ってしまった3枚目の田んぼも乾き始めました。まずこちらからです。稲も土もほぼ乾燥してくれたおかげで、全部刈り終わるのに3時間もかかりませんでした。稲架を立てて、稲架掛けはパートナーに任せ、4枚目の田んぼの稲刈を始めました。ただ、こちらはさらにひどい倒伏。バインダーの性能に期待してそのまま刈ってみました。3条ほど刈ったところで暗くなりました。さて、明日からどうしましょう。刈れないことはありませんが、脱穀する時に無駄が多そうです。引き起こしながら刈れば良いわけですが、この田んぼは広いので、かなり大変です。麦蒔きの準備が追いつかなくなるかもしれませんが、やはり基本に忠実が一番でしょうね。

雨の合間に進む稲刈

 台風の影響もあり、最近塩田平では毎晩のように雨が降っています。秋雨の時期なので仕方ありませんが、この時期の農作業は天気次第です。幸い昼間は晴れることが多かったので、この週末に2枚目の田んぼの稲刈が終わりました。終わりかけで台風の雨が降り出しましたので、少し残った作業がありますが、ほぼ終わったと言えます。台風の雨で稲架の一部が折れてしまいましたが、修理できました。先週末で面積的には1/3刈り終わり、1/5脱穀が終了というところです。家の近くの残った2枚の田んぼの稲ももう刈り入れ時です。例年なら、稲刈が終われば一段落なのですが、来年全部の田んぼが集団減反に入ってしまったので、麦を蒔かねばならず、稲刈を急ぎたいところです。ただ、運搬車や稲刈機(バインダー)のエンジンがかからなくなるなど、機械類のトラブルが多発しています。

 雨の影響で田んぼに入れない日は、ジャガイモの掘り残しを覆っている雑草を刈りました。畑も土が乾いておらず、草刈機が滑ってしまって草刈が進まなくて困りました。この水分ではジャガイモは掘れません。田んぼが乾けば稲刈を優先したいところですが、さすがにジャガイモから芽が出そうです。芽が出るとすぐに食べられなくなってしまうので、どちらを優先するか悩ましいところです。昨晩も雨が降り、ジャガイモはとても掘れそうにありません。1枚の大きな田は水が溜まってしまい、こちらもどうしようもありません。でも、もう1枚の小さな田は表面に水が無く、バインダーは若干のぬかるみなら、刈れるので、こちらの田んぼの稲刈をすることにしました。ところがバインダーのエンジンがかからない。キャブレターのガソリンを抜いてみると何と水です。

 水を抜いたらエンジンはかかりましたが、残念ながらこの田んぼの稲は激しく倒伏しています。稲を手で引き起こして、バインダーで刈れる方向に向け直してやらねばならないのと、畦際一杯まで稲が立っていて、外周は手刈りしなければならなかったので、3時間がかりでバインダーで1周も稲が刈れませんでした。例年なら、少々倒伏していても、無理矢理バインダーで刈り取ってしまい大分お米を無駄にしていました。時間が無いので時間効率を優先していたのです。でも原発事故以来、安全な食べ物を少しでもたくさん作りたいので、収量を優先するようになりました。耕作している全ての農地で、最低1作物は放射能測定に出していますが、幸い塩田平で作った作物からは、これまで放射能は検出されていません。

 最初に刈って先週脱穀をはじめた田んぼは、今年初めて借りた田んぼです。収穫したお米をゲルマニウム測定器で測定してもらいましたが、検出下限1ベクレルでセシウムは不検出でした。脱穀の方は無事終了しました。新米が残り少なくなったので、週末に籾で60キロ精米してもらい、45キロの玄米になり、精白してもらったので、40キロぐらいの白米になったことでしょう。なかなか人に送る準備をする余裕がありませんが、とりあえず子供達に少し送りました。藁の回収までは終わっていませんが、次の田んぼの稲刈が優先です。藁にはとりあえずシートをかけておいたのですが、風で飛んで雨に当たってしまいました。また拡げて乾燥させねばなりません。

 畑の方は、白菜の発芽が悪いと言うか、小さいうちに虫に食べられてしまい、半分も残っていません。野沢菜は、1畝はうまく発芽しましたが、もう1畝は失敗の模様。発芽しなかった場所には他のものを植えたいところです。ニンニクや葱、豌豆などの種もそろそろ蒔きたいところですが、稲刈で忙しくそこまで手が回りません。発芽が遅かった法蓮草もやっと芽が出てきました。野沢菜と法蓮草は同じ日に種を蒔いたのですが、野沢菜と大根葉はすっかり大きくなって、間引き収穫していただいています。ずいぶんと成長が違うものです。父が家の近くの畑に蕪や法蓮草を蒔いてくれたので、冬越しの法蓮草も何とかなりそうです。動物に一部を食べられてしまった薩摩藷ですが、先日やっと電柵を設置しました。これで被害が止まるとよいのですが。

新米をいただいて幸福感に浸る

 先週稲刈したお米を、この週末に早速脱穀して精米し、いただきました。少し前に水分を計ったら18%強だったので、さすがに高過ぎるかと迷ったのですが、土曜日に測ってみたら16.2%でした。長期保存するには水分が多過ぎますが、新米として年内に食べてしまうなら水分が多めの方がお米はおいしいのです。その意味では少し乾燥が進んでいる位です。稲架が折れかけて、干している稲が地面に触れそうな部分があったので、その部分だけ脱穀することにしました。村の精米所は日曜日だけの営業なので、土曜日に脱穀すればすぐに精米してもらえます。籾で50キロほど脱穀し、翌日精米してもらい31キロの白米になりました。早速いただきたいところでしたが、すぐに出張だったので、火曜日に新米をいただきました。やはり新米はおいしい。

 普段は、備蓄している3年前に収穫したお米をいただいています。お米は時間と共に味が落ちます。でも有機栽培で籾保存しているので、それなりの味で特に不満はありませんでした。精米したのは、今年初めてお借りした田んぼで、有機栽培とはいえいわゆる移行栽培です。でも食べ比べてみるとやはり違います。それでもおいしいのが新米の力なのかもしれません。お米がおいしいと、ついたくさん食べてしまいます。先週末から、翻訳をお願いしている平井さんが遠方から手伝いにきてくれました。それに間に合うように新米が用意できてラッキーでした。人手もあるし、先週末には最初の稲刈から1週間経ったので、ほかの田も稲刈できるかも、と思っていたのですが、そこまで登熟が進んだ田んぼはありませんでした。どうも1枚の田んぼだけ特別に生育が良かったようです。

 天気が良いと1日に1%ぐらい水分が下がることもあるので、稲架掛け中の残りのお米もすぐに精米できるかと思いましたが、何と週末は雨。水分が戻ってしまいました。晴れた後で水分を計ってみましたが、4箇所の平均で16.4%。1%以上下がらないと脱穀できません。豆の畑の草を刈ったり、種蒔きが遅れている蕪などを植える場所を用意したりと、米作り以外にもやらなければならないことは沢山あります。平井さんに手伝ってもらって、薩摩藷の除草をしていると、薩摩藷の畝が荒らされています。猪かもしれません。ただ、足跡が見つからないので、ハクビシンなどの小動物かもしれません。電柵を張らないとみんな食べられてしまいます。電柵を張るには外周の雑草を全部刈らねばなりません。

 作物からはなれた雑草は、緑肥なので伸び放題にしていたのですが、電柵の近くに雑草があると、電気がリークしてしまって電柵として機能しないのです。暗くなるまでに、外周の草を刈り終わったので、翌日には電柵が張れそうです。と思っていたら、翌日田んぼのお米の水分を測ってみると、15.1%に下がっていました。被害が拡大する前に、電柵も早く張りたいのですが、乾燥し過ぎるとお米の味が下がってしまいます。急遽脱穀に変更です。3人で午後一杯脱穀しましたが、半分終わったところで暗くなってしまいました。幸い天気予報では雨はなさそうです。明日も脱穀が優先です。出来るだけ早く、乾燥が進まないうちに脱穀してしまいたいものです。脱穀した後の藁も、雨に当ててしまうと乾燥させるのが大変なので、藁の片付けまで終わると良いのですが。

突然の稲刈

 突然ですが先週末の3連休で稲刈をしました。塩田平でも早い方です。まさか、自分がこの時期に稲刈をすることになるとは思ってもみませんでした。というのも、周りより種蒔きが2週間近く遅かった上、直播きで有機農法なので、成長が遅めのはずだからです。例年の稲刈は、周りの田んぼが全て刈り終わった後でした。塩田平でも前の週から、ちらほらと稲刈をする田んぼが出始めていました。忙しかったしまだまだと思っていたので、わが家の田んぼの面倒はパートナーに任せていました。ただ、そろそろ稲刈に備えて、田んぼから水を抜く時期を検討し始めたほうがいいな、と思っていたぐらいです。そこで土曜日に、各田んぼの籾の成熟状況を確認に行って驚きました。

 家の近くの4枚の田んぼのうち1枚だけですが、もう稲刈した方が良さそうです。隣の田んぼで朝から稲刈が始まったとは聞いていたのですが、わが家とは関係ないと思っていました。こんなに早いはずはないと、いくつもの穂の稔り具合を調べましたが、稲刈できそうです。去年の稲刈は10月の初めでしたから、2週間以上早いことになります。いつまで水を入れるか決めるために見に行ったわけですが、早く乾かさなくては。幸い水が減ったところで表面水はありません。少しでも乾燥させるために、畦の漏水防止シートを引き抜きました。幸い3連休に母と妹が東京から手伝いにきてくれました。野菜の種蒔きや、掘り残しのジャガイモを手伝ってもらう予定だったのですが、稲刈が優先です。

 まだ時間があると思っていたので、バインダー(稲刈機)を整備していません。年に1度しか使わないので、キャブレターが詰まってしまうことが多く、オーバーホールが必要だと時間がかかります。田面が乾燥してくれないとバインダーが埋まって大変なので、その面では開始が遅れれた方が良いのですが、整備に時間を食ってしまうと3連休も終わってしまうし、母と妹も帰ってしまいます。翌朝はバインダー整備のために早起きしました。機械置き場に行ってみて、しまった、と思いました。バインダーの手前にパレットに乗った別の機械が鎮座しているではありませんか。さらにその機械の手前にも、薪の山を放置したままでした。バインダーは雑草に覆われて形すら見えません。

 原発事故でストックした薪が使えなくなってしまい、わが家の薪事情は大変なことになっていたのでした。最近入手した廃材や製材の端材がそこここに積上っているのです。まあ良い機会です。運搬車と軽トラを持ってきて、全員総出で薪の移動からです。薪を整理途中の物置に仮置きし、機械を移動し、雑草を刈ってバインダーを引き出しました。大きな異常はなさそうです。クリーニングして注油し、ガソリンも大丈夫そうだったので、リコイルを引いてみますが、全くエンジンがかかる気配がありません。キャブレターのカップを外してみたところ、中はきれいです。???。どうも中に入っているのがガソリンではなく水のようです。原因は不明ですが、カップとガソリンタンクを空にし、新しいガソリンを入れたところ、何とすぐにエンジンがかかりました。

 若干回転が不安定で、ニードルのクリーニングをした方が良さそうですが、とにかく動いているうちに稲刈を始めなければ。田んぼの稗取りをしてもらっていたみんなを呼びに行き、田んぼにバインダーや運搬車、稲架の材料などを運んだところでもうお昼過ぎです。仕方ありません。稲刈の開始は午後からです。お昼は素麺で涼んで、早速稲刈を始めました。ちょっと苦戦しましたが、まあまあのスピードで刈り進みます。ただ、すごい暑さです。真夏なら、機械を支えながら早足で歩けば気が遠くなるので、真夏よりはましなのでしょうがとにかく暑い。最近の農作業は機械頼りなので、最初のうちはバインダー(稲刈機)を操作する人、つまり自分以外はやることがありません。また他の田んぼの稗抜きに行ってもらいました。

 ある程度刈ったところで、刈り終わった場所に天日乾燥のための稲架を立て、他のメンバーにはバインダーが刈った稲束を稲架に掛けてもらいます。掛けるのは3人がかりですが、バインダーが刈る方がはるかに早いので、田面に稲束が広がって行きます。それでも、半分ほど刈ったところで暗くなり始めました。稲架には半分も掛かっていませんが、天気予報では雨は降らなそうなので、藁束はそのままにして、その日の作業を終えました。半日で刈り終わるかと思っていましたが、半分刈れたか刈れなかったか。バインダーの整備や操作、稲架立てができる人がいないので、一人しか作業していない時間がほとんどだったのが、進まなかった理由のようです。

 稲刈2日目の昼頃には終わるかと思っていましたが、稲は刈り終わったものの、稲架掛けは終わりませんでした。運搬車は簡単に使えるので、遠くから稲束を運んでくるのも大変ではなかったのですが、稲を掛ける人が2人だったこともあり、2/3掛け終わったぐらいでしょうか。さらに2日目の最後に大変なことが起こりました。バキッ、と大きな音がしたので見に行くと、1本の稲架が折れて倒れています。数カ所を三脚で支えているのですが、三脚の1つの組み方が甘かったらしく崩壊し、横棒が重さに耐えきれず折れてしまったのです。不幸中の幸いは、少し稲束を下ろせば稲束ごと人力で持ち上がったことです。折れた横棒を立て直した三脚の上で重ねて、何とか元の形になりました。

 ただ、通常稲束を2段重ねるのですが、折れた部分は1段に抑えたので、その分他の稲架を長くしなければなりません。最終的に3日目の午前中2人で稲架掛けして、落ち穂拾いも含め完了しました。のべ5-6人日かかったことになります。時間がかかった主な理由は、バインダーの結束紐が切れたり、結束ミスが出たりしたことのようです。結束機構のケースを開けて切れて絡まった紐を外し、紐をセットし直すのに10分以上かかるからです。結束できなかった稲束を集めてきれいに揃え、手で結ぶのも非常に時間がかかります。丸々1人取られてしまう位です。綿マルチ栽培では、田んぼの際まで稲が育ってしまうので、この部分を手刈りして手で結ぶのもかなりの手間です。次の田んぼの稲刈までに、バインダーの結束機構を分解整備した方が良さそうです。