やはり沢山作物を作らねば、と格闘中

塩田平では桜が満開です。雨も多く、天気が良いとはいえないのですが、これまでがずっと日照り状態だったので、畑には恵みの雨です。本来なら4月は、春の農作業真っ盛りの季節です。しかし今年は、震災や原発事故でいろんな時間を取られ、農業はお休みになっていました。遅ればせながらジャガイモの植付けから始め、雨が降ったので先週マルチをかけました。実は植えたまま手が回らず、マルチ掛けが遅れていました。その間に雨が降ってくれ、ちょうど良いタイミングになりました。それでも時間が取れなかったので畑の半分もマルチを掛け終わっていません。このまま乾燥してしまうと、元の木阿弥です。

 

今年農業に力を入れるべきか、しばらく迷っていました。目の前の仕事だけで大忙しなだけでなく、原発事故も何とかしたいので、研究所などにいる知人と相談したり、ブログを書いたりするのに時間を取られます。しかし今年の日本の農業生産は、津波の塩害や原発からの避難、放射能放出などの影響で、かなりの打撃を受けるでしょう。昨年は世界全体も農業生産が不振気味で、北海道も不作でした。世界の農業生産が順調なら、日本が食料の輸入に困るまでは行かないと思います。でも、少しでも世界の作柄が悪くなれば、日本が輸入を増やす分だけ海外の貧しい人の食料が無くなることになります。

 

最近の報道によると、大まかな数字ですが、農地の津波被害が2万3000ヘクタール。放射能被害が1万ヘクタールとのことです。このうち水田が3万ヘクタールで、平均収量で計算すると米の減収量は15-18万トンになります。米の総生産量は年間850万トン弱なので、2%程度のことですし、減反田への生産振替も行われます。米の民間在庫が200万トン、政府備蓄も90万トン程度あり、米不足になる心配はなさそうです。しかし既に、作付け制限地域より広い地域で野菜などから基準以上の放射能が検出され、出荷制限が行われています。現在も放射能が放出され続けているので、被害農地が広がったり、生産しても放射能が検出される危険があります。

 

わが家の今年の農業は既に出遅れています。まだ作付け計画も立っていない状態です。その上時間もありません。でも食べ物を作るには時間がかかるので、不足が分かってから作るのでは間に合いません。しばらく悩んでいたのですが、将来の食料不足の可能性があるのに農地を遊ばせるわけにはいかないと思うようになりました。手のかからないものを中心に、何とか収量を増やすよう努力したいと思っているところです。ジャガイモのマルチ掛けの遅れも心配ですが、マルチを掛けなくても芋は出来ます。他の野菜の種蒔きと苗の植付けを優先することにしました。

 

この2週間ほどの間に、野菜の種と、レタス、白菜、キャベツ、ブロッコリーの苗を計200本ほど購入し、父に植付けてもらいました。迷いがあったので、最初はレタスとキャベツを20本ずつ。次は20本40本と、少しずつ増やしたので、いろんな畝にまだらに色々な野菜が植わっています。同じ品種を固めて栽培しないと手入れが大変なので、あまり褒められたやり方ではありません。しかも、家庭菜園よりは多いものの、農業としてはかなり少ない量です。キャベツを100本植えても、15メートルの畝1本にしかなりません。農業としては最低でもこの30倍が最小単位ですが、それだけ植えたのはジャガイモ位です。

 

それでも実は、苗を買っていては採算が取れない規模です。自分で苗を作り、沢山植え付けるべきなのですが、それでは1カ月遅れてしまいます。先週末はネギの苗を800本購入し、植付けました。これもその4倍位は作りたいところなのですが、植付けに割けそうな時間から計算したので少なくなってしまいました。種苗店で本数を確認して買ったのですが、実際に植えてみると1200本以上あり、準備した畝が足りません。植えないと枯れてしまいます。たくさん植えたかったので悪いことではないのですが、時間がありません。あわてて畝を立て、激しい雨の中で植えるしかなく、往生しました。

 

作付け計画も立てないまま、その場しのぎでですが、ここまでで畑の半分位作付けたでしょうか。営農計画が遅れている代わりというわけではないのですが、ネギとジャガイモは、新しい省力化多収農法を試しています。うまく出来てくれるか楽しみです。南瓜や薩摩藷を植えるまではまだ時間があるので、準備して多めに作るつもりです。それ以外に減反田で、鶏の餌にする大豆も作らねばなりません。そろそろ米作りの準備もしなければならないのですが、トラクターの整備も手つかずです。塩田平ではゴールデンウイークは農業ウイークなのですが、わが家は皆さんより半月遅れで、機械整備ウイークということになりそうです。