トマト、全滅の危機!

 トマトの生育は順調、大玉中玉プチトマトそれぞれ、1段目に連なる実が日々膨らむ様子を見るのが朝の楽しみ・・・・・・でした。その日までは・・・・・・。

 6月7日、夕方の水やりのため、庭に出てビックリ。トマトの畝周辺が水浸しになっているのです。ゲエエエ・・・昼間、庭仕事した際にバケツの水を流したから、トマトの畝周りの溝に水が溜まったのかなぁと、頭を掻き掻き水を掃き出そうと、小さなシャベルで水をジャバジャバ排水穴に向けて掻いたのですが、掃けども掃けども水は減らない。そういえば排水穴のお掃除をしてないから、詰まったかな、まぁ時間が経てば水は土に吸い込まれるだろうと楽観的に考えて、わずかな不安を無視しつつ床についたのです。

 6月8日朝、私より先に起きた家人が暗い顔をしています。私の悲鳴を予期していたのでしょうか。トマト周りの水たまりは無くなっていました。が、大玉と中玉トマトの苗は3本とも支柱ごと倒れ、茎は折れ、ちぎれた葉っぱがあちこちに散乱。テラスに置いていたお花の植木鉢も、大きな蘭の鉢も、庭の真ん中まで投げ出されていました。悲鳴はあげてないデス。

 テラスに設置してあった交換用タイヤ4本を載せたホルダーがひっくり返り、タイヤと植木鉢を投げ飛ばして、トマトに直撃したのでした。ホルダーを倒したのは他でもない、【水流】でした。

 プチトマトから50センチほど離れた場所の地下水管が破断して、水道全開状態の水が噴き出し、テラス周辺の土を家の基礎部分に押し流していたのです。ソウイエバ、きれいなお水が、湧き出ているって感じでした。

土がえぐられて

家の地下に流れ込んでいた

 ソウイエバ、前日あたりから、ダンゴムシが大挙して退去していたり(クダラナイ駄洒落)、見たこともないオケラのような虫がいて腰を抜かしたりしていました。これらは皆、少しづつ水が滲み出て、土が水浸しになっているサインだったのです。

  呆然とトマトの残骸を眺めること10分余り。見つめても見つめても現実だわ・・・。我に戻って、支柱を起こし、グニャリと曲がった茎はまっすぐにして、汁が出ている茎は折り取りました。ここで急いでハサミを使い、病気になっては、本当に全滅してしまいますので、手を使いました。ちなみに、トマトは水を少なめ少なめで育てるので、茎がポキリと折れることはほとんどありません。茎が折れるのは、水やりの直後だけです。しかし、丸1日も水道水の池に沈んでいた根っこは、少し触っただけで音を立てて折れてしまいました。

大玉中玉トマト、支柱を立て直した

折れ曲がった茎

2段目から上は取り去るしかなかった

 

 プチトマトは3本とも根っこごと引き抜き、大玉中玉トマトはマルチを取り去って、新しいと腐敗防止の燻炭と、ケイカル、カキ殻石灰を混ぜて植え直し、新たにマルチを張りました。はたしてトマトは復活するでしょうか。

 今年は大収穫を狙っていただけにショックではありますが、水道管の破断は誰のせいでもない、歴年の結果なので、受け入れるしかありません。昨年のプチトマトの土が変な湿り具合で、ネコブセンチュウの害を受けたのも、漏水のせいもあったのではないかと思います。

 怒濤の1日が終わり、土運び、鉢の移動などで、全身筋肉痛となりましたが、3日経って、トマトが生き残ったことを確心しました。

丈が低くなったプチトマト

熟し始めたトマトがいじらしい

この実は熟すでしょうか

このわき芽が頼みの綱

 

 プチトマトの実が熟し始めていました。真っ赤になった2つを朝食に戴きました。

初収穫

 お味は・・・・・・、水っぽい、スーパーで売っているトマトの味でした。しかたありません、水浸しだったのだから。

  今回の惨事で、改めて永田農法の【極限まで水を控えて育てる】手法で、濃厚な、世界一のトマトができていたのだと納得しました。今後はトマトの様子をしっかり観察し、土が乾いてきたことを確認するまで水も液肥も与えずに育てます。

 トマトの生命力を信じつつ・・・。

植え付けから17日

 立派に育った苗を植え付けてから、1週間は水も肥料もやらず、わき芽を2~3日ごとに掻き取りました。見守りながらも手は出さない。ほったらかしとは違います。

 ちなみに【わき芽を掻き取る】というのは、本葉(見るからに本葉!)というしっかりした葉をつけた茎の根元から出てくる【新芽】を手で折り取ることです。【掻き取る】という表現を使うのは何故か? やってみると分かります。

 手で折り取るのは、ハサミを使って病気をうつさないため。煙草を吸う人は、石けんで手を洗ってからしないと、タバコモザイクウイルスという致命的な病気をトマトに罹患させることになるので、要注意。トマトの近くでタバコを吸うのもやめましょう。

 1週間目に初めて液肥水(住友液肥2号を600倍に希釈したもの)を株の根元にたっぷり与えました。たっぷりとはどれくらいかというと、6リットルのじょうろに作った液肥水を6株に与えるとじゅうぶんという感じです。つまり、1株の根元に1リットルも水をジャボジャボ与えることになりますので、一回では吸い込んでもらえません。6株に一巡りしてから、もう一巡して、じょうろが空になりそうかなというぐらい与えます。

 なんという水の多さ! なんという大ざっぱさ! と驚かれるでしょうが、横90センチ、奥行45センチの畝にミニトマトを3株、150センチ×90センチの畝に大玉トマト1株と中玉トマト2株を植えて、大玉中玉で数十個、ミニトマトは300個の収穫を目標としていますので、トマトに含まれる水分量を考えてみれば、この程度の液肥水を1週間か10日に1度与えるだけで実が膨らんでいくというほうが奇跡に近いと思います。

 植え付けから17日が経ちましたが、液肥水を与えたのは2回だけ。トマトに関しては、水やりは一切せず、葉っぱが萎れてきたなと思った翌日ぐらいに液肥水をジャバジャバに与えることにしています。

 根っこを短く切り、過酷な条件で植え付けられた(永田農法に馴染んだ私自身は過酷だとは思っていませんけど) 苗は、既にしっかりした健康的な実をつけ、大きく育っています。

 大玉トマトは手のひらにずっしりと重みを感じます。【桃太郎ギフト】という【桃太郎シリーズ】最新品種の接ぎ木苗です。

5個着果したうち、1個を摘果

 

 【フルティカ】という中玉トマトの接ぎ木苗。昨年の【フルーツトマト】より、実付きがいいみたいです。

緑が濃く、強健な印象の中玉

2株とも、9個着果しています

 

 「実付きがいい」なんて、専門家みたいな表現を使っていますが、実はそんな高尚なものではないのです。トマト苗を植え付けるのは、1段目の花が確認できてからと決めています。植え付ける際に、根っこをバケツの水に浸して洗ったり、切ったり、広げたりと、株をいじくり回すことになるので、必然的に1段目の花やつぼみは痛めつけられることになり、何個かちぎれてしまうという結果になります。ちぎれないように丁寧に作業すれば良いのですが、スピード勝負という面もあるので、クソ丁寧にしすぎるのも良くないかなぁなんて思ったりしながら、大ざっぱな性格丸出しの作業を行っております。

 大玉トマトは1段目に着果しないと、2段目3段目も着果せず、葉っぱばかり茂る「ツルぼけ」という状態になるそうです。名前からして、ヤですよね、ツルボケなんて。てなわけで、大玉と中玉は特に、1段目の花を見たら、アイシャドー用の筆(もちろん100円ショップもの)で、花をコショコショくすぐります。ホルモン剤のスプレーを吹き付けると、確実に着果するそうですが、薬の世話になどなるものかと、筆でコショコショ。以前は、105円の筆を買う(お金ではなく)手間を惜しんで、指先で、ピシッとはじいたりしていました。この指先ピシッも有効ですが、勢い余って、せっかくついた花が飛んでいくということが何度も何度もあり、永田農法3年生の卒業祝いとして、筆を購入した次第です。【筆でコショコショ】の甲斐あってか、はたまた桃太郎ギフトとフルティカの威力か、1段目にして満杯状態の着果を見て、今年のトマト収穫の成功を確信したのです!

 

 ミニトマト、プチトマト、まだどちらで呼んで良いのかも分かりませんが、大玉や中玉のように着果の心配がないということで、植え付けの際の扱いが、非常に荒っぽかったのでしょう。3株のうち、1株の1段目は、花芽が1つしか残っていないという有様。しかししかし、接ぎ木苗の強さはすでに見てとれます。

 2年続きでお安い価格のわりに丈夫な【アイコ】(1株98円ぐらいだったかな・・・)を育てましたが、遂に連作障害でネコブセンチュウが発生。そこで今年は涙をのんで1株175円也の接ぎ木株を3株買いました。品種は以前から狙っていた【千果】。名前が良いですね。1株から千個採れるってわけではないでしょうが。中玉トマトと共に【鈴なりのトマト】を収穫できるという期待でワクワクしています。

中玉のたくましさとは異なる、可愛い小粒トマト

今のところ2株ともに8個着果を確認

 

 びっしりうぶ毛が生えているのを見てください。(トマトに「うぶ毛が生える」っていう表現、ちょっと可笑しい)うぶ毛は日に日にしっかりしていき、大きく育つ頃には素手で触ると手がチクチクするほど、たくましい毛(?)になります。これは元気一杯の証拠。我が家の【世界一のトマト】は、病気知らずなのです!

 

 昨年の収穫は、大玉トマト1株で14個、中玉トマト2株で13個、プチトマト3株で242個でした。

 今年の目標は、同じ株数で、大玉トマト30個、中玉トマト100個、プチトマト300個。

 この目標を達成するために、ある裏技を使うのです!!!

トマト支柱に関する ウ ン チ ク

 2日前、いい加減に支柱を立てねばと、重~い腰を上げ、支柱立てと雨除けシートを張りました。

今年は上手にできました

 支柱は210センチのものを使用しました。ホントは230センチのにしたかったのですが、長い支柱はそれなりに値段も高い。20センチ短くするだけで100円ぐらい安くなる。10本買えば、1000円の差が・・・。そして、さらに10本ではなく9本買って、様子を見て、足りない分を買い足そうというドケチぶり。しかし、土にグサーッと差し込んでみて、あーあーやっぱし230センチにするべきだったと後悔しました。今年は多収をもくろんでいるので、支柱が短い=採れる段数が少ないということになります。残念。

 トマトの支柱について、これまでの経験と失敗から学んだことをお伝えします。

 支柱の素材  で使用する場合、素材は(長持ちさせたいのなら)プラスチック(みたいな)ものが良いです。竹製の支柱【篠竹・しのだけ】という名称で、230センチぐらいのが、チョー安値で売っていて、それはそれで重宝します。しかし、2年も使うと、土に埋まった部分が腐って、エイヤッと力任せに土に差し込んだとたん、折れてしまったことが数度。使用後は土の付いた先っぽを消毒するので、痛むのが早いのかも知れません。そいでも、土中菌やセンチュウなどの害虫を畑中にまき散らさないために、使用後の消毒は欠かせない。ということで、値段はちょっと高くなりますが、プラスチック製がお勧めです。

 これとは逆に、プランターで使用する場合、深く差し込むわけでなし、頭でっかちでは、風で倒れやすくなるので、180センチから210センチぐらいの竹がよいでしょう。力任せに差し込むこともないので、折れる心配はいりません。

 シート 雨除けシートは、透明の大きなゴミ袋を切って使っています。我が家はテラスに屋根があり、シートをトマト苗の上からかぶせる必要がなく、前面から吹き付ける雨だけを遮ればいいので、作業は簡単です。畑で本格的にトマトを作るのでしたら、トマトの雨除けに必要な支柱やアーチ、シートなどがセットになったものを買うのが一番楽ではないかと思います。別々に買うのとセットと、どちらが安上がりかは、育てる株数によって計算しなくていけないでしょう。 ゴミ袋を使うのなら、大きなサイズの、分厚いもののほうが、音を立てないようです。

 留め具 シートを留めるプラスチックの留め具は支柱の太さに合ったものがあります。これはたっぷり用意した方がいいです。100円ショップにもあったと記憶しています。シートはきちんと留めておかないと、風が吹くたびにバサバサ音がして、うるさくてたまりません。ご近所迷惑にもなりますから、シート張りは慎重に。うるさいと感じたら、やり直す覚悟でいましょう。


トマト苗の植え付け

畝立て

 永田農法では、トマトの植床はできるだけ高畝にするのが理想的です。とはいえ、ウチの畑はたった一坪で、8月初旬には全体が人参畑になるので、9月いっぱいまで収穫が続くトマトのスペースはありません。そこで、テラスと畑の間のすき間に植えることにしています。

 奥がプチトマトのスペース。横幅90センチ、奥行45センチの畝ができます。砂利を敷いてあるところがトマトのスペース。150センチ×90センチの土に畝を立てます。

普段は泥はね除けに砂利を敷いている

 

 プチトマトのスペースは、前年、ネコブセンチュウにやられ、土の状態は最悪でした。苗にかけるお金をケチって、2年連続で【接ぎ木苗でない】普通の苗(価格は接ぎ木苗の25%)を植え、6ヶ月も収穫したので、連作障害が出ない方がおかしい。それにしては美味しいプチトマトがいっぱい採れたなぁと感心しつつ、若干の反省を込めて土壌改善に励みました。努力の甲斐あって、プチトマト用の土もフカフカになっています。

プチトマトのスペース

 

ネコブセンチュウの被害

 

 植え付けには、曇りの日を選ぶのがよいでしょう。根っこを切って植え付けるのは苗に負荷をかける作業ですし、私自身、日焼けがイヤ、暑いのがイヤなどと色々な理由があり、カンカン照りの日は避けたいのです。日にあたるのが苦にならないという方でも、苗を切って植え付ける際には、自分の背中に太陽が当たって苗が陰に入るよう、気をつけた方がよいと思います。

 

 苗を水に浸す

 作業を始める前に、忘れてならないことがあります。苗にザブザブ水やりをして、受け皿にも水を溜めておきます。水を張ったバケツに浸しておくのが一番。ただ、苗の数が多い時は、バケツが足りなくなりますから、そこは臨機応変に。ともかく、水やりは作業の2~3時間前にするのが良いと思います。根を切って植え付ける前に、しっかり苗に水を吸収させることで、植え付け後の苗の健康状態が大きく変わります。

 植え付けの日、朝起きたらすぐ、苗にたっぷり水をやります。のんびり朝食を食べて、洗濯して、水やりから約3時間後に作業開始です。

 砂利を竹箒で掃き、土を顕します。

砂利を除けた

 

防草シートをめくる

 

 固まった土を三角ホーで耕します。

三角ホーで土を耕す

 クワで耕すのは力が要りますが、三角ホーならさほど力は必要としません。私は三角ホーやシャベル、移植ゴテなどを使い、あまりクワを使いません。道具は自分の体力と土の広さに合わせて選ぶのが何より。永田農法では、基本的に土を耕す必要はないとのことですが、我が家のように、トマトのシーズンだけ土を利用し、普段はさんざん踏みつけて土が硬くなっているという場合は、水はけを良くするために、耕す方がよいと思います。

 耕した土に、珪酸カルシウムとカキ殻石灰を撒きます。トマトはカルシウム不足になると実が割れたりするそうなので、ちょっと多めかなと思うぐらいに撒いておきます。

土に定量のケイカルとカキ殻石灰

 

 土の面積が小さい場合は、それなりに小さな道具の方が使いやすいと思います。100円ショップで買った小さなシャベルは、土を混ぜたり畝を立てるのに大活躍です。

100円ショップのシャベル

 

 毎年同じサイズの畝を立てるのですが、メジャーで測って、サイズを再確認します。

畝のサイズを確認

 畝を立てた後は、液肥水(約600倍の希釈液)をじょうろで撒いておきます。

 

 マルチフィルムを張る

 黒地に銀色のストライプが入ったマルチフィルムを張ります。買い置きしてあったと思ったマルチが足りず、急きょ、黒いゴミ袋で代用することになりました。マルチを張った後、苗を植える箇所にカッターナイフで切り込みを入れます。マルチを苗の大きさにくり抜くためのグッズも1000円以下で手に入りますが、家庭菜園規模ならカッターナイフか、金属製の移植ゴテでバッテンに切り込みを入れるだけで十分です。

マルチに切り込みを入れる

 切った穴に、たっぷり液肥水を施しておきます。プチトマトの畝は完成です。

 

  次は大玉トマトと中玉トマトを植える畝を作ります。土の広さは150センチ×90センチ。赤玉土を足して、できるだけ高い畝を立て、珪酸カルシウムとカキ殻石灰を撒きます。

畝を立てる

 

 液肥水をたっぷり撒き、マルチフィルムを張って、カッターナイフでバッテンに切り込みを入れる。

マルチに切り込み

 

 切り込みを入れた穴に液肥の600倍希釈液をたっぷり施します。マルチの表面に水がプワーッと広がるのが見てとれます。

液肥水を施す

 

 植え付け

 苗の植え付けは、プチトマトも大玉・中玉トマトも同じです。

  マルチの切れ目に移植ゴテを差し込み、ポットと同じくらいの土を取り出します。土はすぐに使うので、マルチの上に置いておきます。切り込みの穴の中心部に土を盛り上げるようにします。湖に浮かぶお山のイメージです。

穴を掘る

 

 根切り

 さて、ここからが永田農法の真骨頂! 楽しい根切り作業にかかります。

 まず、バケツに水をいっぱい入れておき、苗の土部分をどっぷり漬けて、土をすべて洗い落とします。

根がしっかり張っている

 

洗うとこんな具合

 

 根っこを約5センチ残して、スッパリとハサミで切り取ります。

切った根っこ

 

 再び根っこをバケツに漬けて、きれいに洗いながら、根っこが放射状に広がるようにします。

根っこを広げる

 この作業はとても大切なので、丁寧にした方がいいです。根っこを長く残したり、土がたくさん残っていたりすると、後の成長を阻害することになります。実際に根っこを洗わないで植え付けた苗は失敗に終わっていますので、やるならしっかりやる!という覚悟で、根切りしましょう。

 

土に植える-花の向きに注意

 土におく際は、必ず花が手前に(通路側)来るようにします。トマトの花は同じ側につきますから、反対向きだと、受粉や収穫作業がしにくくなります。

花が手前に来るように注意

 

 支柱を立てる

 太く長い支柱を(説明のため、本支柱と呼びます)立てるのですが、時間の都合により今日の作業はここまでです。(一気に作業を済ませたほうが良いかもしれませんが、苗が小さなうちはあわてて本支柱を立てることもありません。大きくなるまでにしっかりした支柱を立てて、雨除けをしますが、この作業に少々時間がかかります)

 根っこがしっかりしていない苗が倒れないよう、仮支柱を立てて、ゆったりと留めておきます。 仮支柱を取り外さないのなら、麻ひもで留めましょう。私は本支柱を立てたら、仮支柱は取り除くので、ワイヤーを使います。

仮支柱を立てる

 

ワイヤーでかるーく留める

 

 最後に、植え穴に液肥水をたっぷり施し、マルチフィルムの上の泥を洗い流しておきます。

できあがり

 

 植え付け前にしっかり水を吸わせているので、約1週間、水やりの必要はないと思います。お天気にもよりますが、曇り時々晴れという予報ですので、心配していません。あまりに乾燥して萎れてくるようなら、液肥水をやることにして、経過を見ます。

早い者勝ち! 良い苗をGET!

 夏野菜の苗がホームセンターで売り出されています。カラー写真の入ったチラシを見るだけで、ソワソワしてしまう季節です(*^_^*)。

 ホームセンターに行くと、トマト、キュウリ、ナス、ピーマンを始め、とうがらしの種類も色々あります。冬の寒~いときから必死で万願寺とうがらしの加温育苗をしていた私は、見事に育った苗を見つけて愕然としました。今までのワタシの苦労はなんだったの・・・。万願寺とうがらしは6株ぐらい植えたいから、苗を買うとしたら1ポット198円×6で1188円、えーっと・・・手作り加温育苗器の材料費は半分まかなえることになります。コスト的に私の苦労は無駄じゃなかったかな。

 緊急のトピックはトマトの苗についてです。トマト苗の植え付けは、ゴールデンウィークが最適。気温が上がらない時期に買った苗は小さくて育ちが悪いから、4月末ぐらいから購入するのがよいといわれますが、私は遅くとも植え付けの2週間前には苗を買いに行くようにしています。特に永田農法でトマトを育てる場合は、早く苗を購入することをお勧めします。

 理由を挙げていきましょう。トマト苗が店頭に並び始めた時期なら、小さくて健康な苗を選ぶことが出来ます。家庭菜園ブームの昨今、ゴールデンウィークにもなると、良い苗の取り合い状態になります。大勢の人と押し合いへし合いしながら、苗を選ぶのは大変。ド根性を出して苗をじっくり選べたとしても、良い苗は朝一番に来た人がかっさらっていくらしく、とにかく探すのが一苦労です。なによりも、永田農法では根を短く切って植え付けるので、根張りが不十分だと(特に関西の気温では)育たないという危険性をはらんでいます。

 そこで、早めに良い苗をゲットしておき、自宅で一回り大きいポットに植え替え、良い環境で苗を充実させるのが成功への秘訣なのです。ホームセンターで小さなポットに入れられ、窮屈な思いをして2週間過ごした苗と、ゆったりした間隔、大きめのポット、風通しと日光を十分に確保して同じ期間を過ごした苗、どちらが元気一杯か、見るまでもないことです。

 見るまでもないと言いつつ、見てみましょう。

買ってきた苗

植え替え後

 今日、ホームセンターのチラシを見て、朝一番に苗を買ってきました。一回り大きな、黒のポットに【さし芽種まきの土】で植え替えます。ポットの色は、地温を上げるため、黒にします。

 買ってきて、すぐに植え替える暇がなければ、しばらくそのままにしていても大丈夫です。突然冷え込んで、朝霜がかかることのないよう、屋根のある所に置きます。

 我が家はテラスにスモークの屋根をつけているので、日光は強すぎず弱すぎず、よい加減になっています。(この屋根は、蘭のためにつけたのですが、野菜の苗置き場としても最適だといまさらになって喜んでいます。)後は土が乾きすぎないよう、様子を見ながら水やりをします。水やりと平行して、植え替え数日後から植え付けまでの間、住友液肥の希釈液を週1で与えます。これで、安心して他の作業に集中できます。

 さあ、これを読んだら、急いでトマトの苗を買いに行きましょう!!

 ちなみに、この、苗を買ってきてから自宅で大きくして植え付ける方法は、『はじめての野菜づくり12ヶ月』(坂木利隆氏著、(社)家の光協会発行)で学びました。

 いま坂木氏のお名前を書き込んでいて思いだしたのですが、『NHK野菜の時間』4月号テキストに坂木氏が紹介されていました。「野菜は趣味ではない。実益である」という坂木氏の理念は私の【どっさりがっつりコスパフォ】と同じ考え方です。『はじめての野菜づくり12ヶ月』には100種類の野菜の育て方が絵入りで紹介されている、私のバイブル書なので、その著者が野菜は実益だとおっしゃっていることに、なんともいえない驚きと喜びを感じています。

 

 

世界一美味しいトマト 8 ― なぜ世界一と言えるのか の巻

 ここでは、私のような謙虚な人間をして「ウチのトマトは世界一美味しい」と豪語せしめた理由を述べたいと思います。

昭和回顧録

 昭和33年12月生まれの私と家人は、青少年期に戦争を体験した親を持ち、日本が戦後から抜け出そうとして変化を続けていた時期に幼少期を過ごしたのです。幼い頃の私たちは、いま放送中のテレビドラマ『南極大陸』の子供達をほんのちょっとだけ清潔にした格好で、そこら辺を走り回っていました。

 一戸建てに住めるほんの一部のお金持ちさんたちとは違い、多少の差はあれ、今の生活と比べれば【貧乏】という【括り】に入る生活でした。

 でも、自分たちが貧乏だと思っていたわけではありません(親たちはそう思っていたかもしれませんが)。塾に行く子供など、私の知る限りでは一人もいませんでした。毎日、親から、いい加減に帰ってきなさい、何時だと思っているのと言われるまで外で遊び、ごはんを食べて、寝てという、しあわせな子供時代でした。

 しあわせに食べ物の思い出は欠かせません。子供にとって何よりの楽しみは、おやつです。

 春から夏の間(なぜか秋冬の記憶がない)、早朝に、お百姓のおじさんがリヤカーを引いて、朝採れたばかりの野菜を売りに来ていました。「奥さん、今日はいちご安いよ」「スイカおいしいよ」「じゃあスイカと、ぶどうもちょうだい」などという玄関先でのやりとりを聞きながら、今日のおやつはスイカかなと布団の中でほくそ笑んだりしたものです。

 いまだに懐かしく思い出すのは、おやつのいちごやスイカ、ぶどう、そしてトマトです。

 けっしてお金持ちではないけれど、夕食後のデザートには4人家族で、いちごを2パック、一気に食べていました。(ちなみに、いちごパックは今も昔も同じです。なんだか不思議)ガラスの器におてんこ盛りにしたいちごに、砂糖とミルクをかけて食べるのが我が家流でした。

 貧乏とはいえ、スイカはずしっと重くて食べごろのやつを、丸ごと買っていました。たらいで冷やし、豪快に切ったスイカを大きなお盆にのせてくれ、近所の子供達4~5人と縁側に並んで座り、ペッペと種をとばしながら競うようにしてかぶりつく光景が、いまもありありと思い出されます。

 ぶどうといえば、種なしぶどう。巨峰などという高級なものは頂き物でしか口に入りませんでしたが、デラウェアとおぼしき種なしぶどうは、大皿におてんこ盛りにしてもらい、兄と競うように食べていました。

 トマトもよく食べました。採れたての真っ赤なトマト。熟しているのに実がしっかりしていて、味が濃厚、甘い。スイカや種なしぶどうと並んで、大きなトマトはお腹を十分に満たしてくれる美味しいおやつ。私は、そんな甘いトマトに、上白糖をふりかけて食べるのが大好きでした。

 トマトに砂糖! ゲェッという方もおられましょうが、トマトにソースや醤油をかける人もすくなくありません・・・よね? マヨネーズかけるのもいいですね(完全に逸脱してます)。

 すごく長い前振りになりましたが、簡単にまとめれば、私が子供の頃は、貧しくても、安くて新鮮な野菜類がふんだんに食べられた時代だった、そして、子供の舌で覚えたスイカやトマトの味は、今でも忘れていないということです。

 

世界中のトマトを食べた

 このような味の思い出をもった私が、「ウチのトマトは世界一美味しい」と厚顔にも豪語できるのは、私が世界中のトマトを味わった経験を持つからです。

注:世界中のトマトというのは、もちろん、大ざっぱな意味での【世界】であり、厳密な意味での【世界】でないことをご了承下さい。

 

 私は20代の丸7年間、世界中飛び回る職業に就いていました。その間、アメリカの友人宅に厚かましく泊めてもらいに行くこともありました。休暇中は仕事で行かない国を旅行し、ドイツで4ヶ月、イギリスで1年半の生活経験があります。ネパールで最初に食べた野菜はトマトでした。ということで、一応、世界中でトマトを食べたといっても、大ボラとは言えないなぁとお許し頂けることを祈ります。

 但し、永田農法でよく語られる、トマトのルーツであるアンデスへは行ったことがありません。(残念!)

 

世界のトマトと日本のトマトの違い

 アンデスのトマトはさておき、私が食した世界のトマトは、みなよく似ていました。

 サイズは日本でいうフルーツトマトぐらいの中玉。果肉はピンク系で、実がしっかりしていて、酸味が強い。いかにも野菜です!という主張を感じます。どの国でも、さほど味と形状に変わりないというのも、面白いことです。

 ドイツに住む友人はビオの食品しか食べないので、滞在中はビオ野菜を十分堪能しました。高価な有機野菜であるビオものは、日本のスーパーで売っている野菜とは、全く比較の対象にならないぐらい美味しいのですが、なぜか、トマトはよその国の中玉トマトと同じようなお味でした。

(注:説明すると長くなりますので、ドイツのビオについては、ネットで調べてくださいませ。)

 

 イギリスのトマト事情も、ほぼ同じですが、こちらでは日本にあるような真っ赤な大玉トマトを買うことが出来ます。スーパーではあまり見かけませんが、いわゆる日本の市場のように、お肉屋さん、八百屋さんと独立した店では、夏場に大玉トマトが時々売られていました。嬉しくなった私が、数個買い込むと、お店のおじさんが「スタッフ・トマトにするんですか?」と聞いてきます。下宿に帰っても、大玉トマトを見た大家さんやその娘たちが、それぞれに「今夜はスタッフ・トマトを作るの?」と聞いてきます。

 別にいいけどぉ……でかいトマトを生で喰ったらいかんのかい!と心の中でぶつくさ言った記憶があります。イギリスでは、例の酸っぱい固いトマトは生食、熟した大玉トマトはスタッフ・トマトにするというのが通例のようです。はたして問題のでかいトマトのお味はというと、全然記憶にありません。美味しかったら、食いしん坊の私が忘れるはずはないんですが・・・・・・。余談ですが、朝食のソーセージなどに添えてある、グリルで焼いたトマトは美味しいです。

(注:説明すると長くなりますので、スタッフ・トマトについては、ネットで調べてくださいませ。)

 

 各国のトマト事情をすべてここに述べると、きっとこのブログを誰も読んでくれなくなると思いますので、ここら辺で外国トマトのお話しは終わります。

 

 結論:日本のトマトの方が美味しい、と私は感じます。ていうか、外国ではトマトに糖度など求めていない、トマトはサラダの一部と捉えられていて、トマトだけを切って皿に盛って供するという形は見たことがありません。

ウチのトマトvs日本のトマト

 では、いままでに日本で食したトマトとウチのトマトを比べてみます。

 ワタクシにも、独身貴族と呼ばれた時代がありました。それもかなり長期間。その間、お財布の中身を気にもせず、ひたすら美味しいものを求めていました。でも、単体の食べ物として、子供の頃に貪るように食べたトマトに匹敵するものには巡り会えませんでした。

 もそっと年を喰ってお局様と呼ばれるようになっても、自宅周辺のスーパー、デパート、八百屋さんで売っているトマトの味は、感動にはほど遠いものでした。

 さらに年を重ねて、海外旅行より国内の温泉旅行を好むようになったこの10年ほど、野菜の味が以前よりは良くなった(売っているところと値段に拠りますが)と感じています。

 家人の故郷、長野のスーパーにある[地元産野菜]コーナー、蓼科高原、飛騨高山、下呂温泉などの宿泊施設で到着後や湯上がりの客をねぎらうために置かれた[ご自由にお食べ下さい]という清水で冷やした野菜桶。いずれも「おいしい」トマトがありました。

 でも、今年採れたウチのトマトは、それらのトマトの味を遙かに上回っていました。

 農家に嫁いだ友人のお話を『農薬』タブで紹介しましたが、その友人のご近所にトマト名人と呼ばれる方がおられるそうです。友人を我が家の昼食に招いて、ウチのトマトを食べてもらうと、「これは、ご近所のトマト名人のトマトよりおいしい」と言ってくれました。

だらだらと、あきれるほどトマトについて書き続けてきましたが、やっと結論をご披露するところまできました。

なぜ世界一と言えるのか

 味の判断は好みに左右されますから、おいしいかどうかは、個人的な意見でしかないという前提をふまえて、僭越ながら申し上げますが、昭和30年代~40年代という、自然な農法で栽培された野菜を食べて育ったワタクシは、少々ながら野菜に関する自分の味覚に自信を持っています。

 そんなワタクシがトマトのおいしさ比べをして、得られた結果は次のようになります。

ウチのトマト>日本の特においしいトマト>日本の一般的トマト・ビオのトマト>外国の一般的トマト

比較に用いたデータが少なすぎるのではとのご批判もありましょうが、ともかく、これが永田農法3年生の出した結果でした(万歳万歳)。

 ウチのトマトは、甘酸っぱい香り、緻密でなめらかな果肉、酸味と甘みがほどよく調和したゼリー質をもち、噛んだとたんに「おいしいぃぃ...」とうなり声がでてしまいます。味に深みがあり、えぐみや青臭さは全く無く、おいしさの余韻が長く続きます。滋味とは、ウチのトマトのためにある表現なのではないか(そうではないですけど)と思わせる味わいが、今この文章を書いていても、口中によみがえるほどです。

 我が家でトマトを栽培するようになって3年経ちました。最初の2年は、大玉トマトの実つきが悪かったという失敗もありましたが、もう我が家族の舌は、ウチのトマトの味を覚えてしまいました。そのため、季節はずれにスーパーでトマトをほとんど買わなくなりました。時々トマトを食べたくなっても、1個100円から150円の見かけはおいしそうな大玉トマトを見ると「おいしくないものをわざわざ買うことはない」と手を引っ込めてしまいます。 

 次の夏には収穫量を増やす裏技をつかい、世界一のトマトを堪能するのが楽しみでなりません。

世界一美味しいトマト 7

 7月と8月の2ヶ月間で、大玉トマト14個、中玉トマト13個、プチトマト242個も収穫できて、大感激です!

 正直言うと、1株だけでこんなに大玉トマトが14個も出来たのは、すごい快挙だと思います。

一つあたりの重さは350グラムから400グラム

手のひらサイズ

家人の顔と大きさ比べ

 大玉トマトの大成功に比べると、中玉トマト2株で13個は少しさびしい結果でした。

 サイズは、驚くことに大玉トマトとほとんど同じだったのですが、ブドウの房のように真っ赤なトマトがビラーッと並んだ状態を期待していたので、あまりにも大きなトマトがポコポコ実をつけるので、贅沢と思いつつ、ちょっとがっかりです。

 なぜ、中玉トマトがたくさん実をつけなかったのか、理由は私の粗忽な行動にあるのです。

 トマトの畝は、畑にあてているレンガの囲いと屋根付きのウッドデッキの間の約90センチのすき間に、必死で土を盛り上げて作りました。

南向き、遮光率20%の屋根があるウッドデッキはトマト栽培にはもってこいです。でも、西側(トマトに対して右手側)にあるプチトマトの世話をするためには、その狭いすき間をすり抜けていかねばなりません。

雨除けビニールシートを張った、外側を通れば問題なかったのですが、ついつい2~3歩踏み出すのを横着して、トマトの株すれすれに通り抜ける時に、中玉トマトに体が触れてしまい、枝を折ったり、花が取れたり、小さな実を落としたりの連続。

私の体当たり攻撃を受けながら、13個の実を熟させてくれたのは、フルーツトマトが素晴らしく強健な品種だという証明だと言えましょう。

 

実付きの良さならフルーツトマト!!!と、大宣伝するとしましょう(^o^)
 

トマトの栽培データ

 品種と株数:大玉トマト(桃太郎)1株、中玉トマト(フルーツトマト)2株

 株間:約45センチ

 畝のサイズ: 幅;約50センチ、長さ;約130センチ、高さ;約20センチ

 マルチング:黒に銀線入りのポリマルチ

 用土:庭土に赤玉土を混ぜたものプラス珪酸カルシウムとカキ殻石灰を約3握りずつ

 肥料:永田農法で使用する【住友液肥2号】1000倍に薄めて、週1回~10日に1回

プチトマトの栽培データ

 品種と株数:プチトマト(アイコ)2株

 畝: 幅;約50センチ、長さ;約90センチ、高さ:約30センチ

 マルチング:黒に銀線入りのポリマルチ

 用土:庭土に赤玉土を混ぜたものプラス珪酸カルシウムとカキ殻石灰を約2握りずつ

 肥料:永田農法で使用する【住友液肥2号】1000倍に薄めて、週1回~10日に1回

工夫した点 - 偉そうに言えば、成功の秘訣(?)かも

1.苗は小さめの接ぎ木苗を、植え付け予定の約2週間前に購入し、我が家の庭で、たっぷり日に当てて、花芽がしっかりするまで育てます。

理由1.ホームセンターなどで大量に保管されている苗には品質にばらつきがあり、植え付け期には、いい苗を選ぼうにも、早い者勝ちの取り合いでなくなっていることも・・・という事態を避けるため。
理由2.永田農法では、根を切ってから苗を植え付けるので、しっかり根が張った状態にするため、我が家の庭で育苗の仕上げをした方が確実だから。

2.液肥水は、葉がしなびた状態になるまで与えませんでした。

3.与える量は、1株につき、500㎜㍑をめやすにしました。

4.どの品種も、茎が私の背丈(167センチ)ぐらいまで伸びた段階で、支柱に縛った麻紐を解き、茎下ろし(茎をたわめて全体を下げる)をしました。

5.病気予防として、自家製ストチュウ(作り方は農薬・害虫タブを参照)を気が向いた時にスプレーしました。それ以外の農薬は一切しようしていません。